自分としては「きちんと自分のすべきことをして、周りのみんなに喜んでもらいたい」と動いているのに、周囲からは「あなたは小さなことを気にしすぎ」、「頑張りすぎている」など、自分の思いとはチグハグなことを言われたことはありませんか。そういったお互いの気持ちのちょっとしたずれが、心のモヤモヤに繋がったりするものです。
日常生活で感じるモヤモヤのほとんどは、「人間関係」「お金」「健康」のいずれかに該当すると言われます。
そのモヤモヤの原因は、自分の思い通りにできる部分が少ないからなのだそうです。
ある寓話ですが、二人でデートに出かけました。行楽シーズンで気持ちの良い晴れの日です。湖でボートをレンタルして二人で乗ることにしました。自分がオールを漕いでいると、後ろからコツンと別のボートがぶつかってきました。「誰だ、ぶつけてきたのは。こっちは良い気分で過ごしていたところなのに」と不快な感情が湧き上がり、「一言、いってやろう」と思い振り向くと、ぶつかってきたボートには誰も乗っていませんでした。
さっき吹いた風で木々が揺れ、繋ぎ止められたロープが自然と解けてボートが流れてきたようでした。
そこに誰も乗ってないとわかった途端、それまであった不快な感情がスッと消えていったのだそうです。
不思議なものです。そこに人がいても、いなくても、状況は同じなのに、人がいなかったということだけで、許せてしまう。ということは、人がいても状況は同じことなのですから許せたり、または、気にもならないはずですが、人がいるとそれがなかなか難しいようです。
太陽が東から昇っているからといって、それを変えようとは思わないはずです。「いや、私には太陽が西から昇ったほうが好都合なので、なんとか西から昇らせる努力をして、やり遂げてみせる」という考えを否定はしませんが、相当に困難な人生にはなりそうです。もし、その困難な人生を本人が望んでおらず、太陽は西から昇らせることは出来ないと知らずにやっているのであれば、現実を理解し、そのことを受け止めて、別の工夫やテーマで生きていくことに切り替えたほうが、楽で楽しい人生になるのかも知れません。
自分で変えられない物事は、そういうものなのだと理解し受け入れ(なんだったら活用してみようくらいの気持ちで目の前のことをそのまま認めて)、東から昇ってくる前提で色んな物事を考えたり計画したりするはずです。
「自分の思い通りにならないこと」については、そのような心持ちで眺めてみることも、一つのアイデアかも知れません。
「自分で出来ること」と「出来ないこと」を自分でよく把握して、「自分の出来ること」だけに集中してみれば、心の重荷がとれて、ずいぶんと楽になるものですし,自分の望んでいた状況に近づく一歩も絞り込め、コツコツと継続したほうが意外と早く到達したりすることが多いような気がします。
自分に出来ないことまで「やらねばならない」と考えているから、「もっと頑張って出来るようにならねばならない」と強い囚われを生んでしまうのかも知れません。この状況は、グラウンドの中をぐるぐる回り続けて、歩き疲れているようなもので、「こんなに歩いているのに、
あの山の頂上にはなかなか近づかない」と言っている形に似ています。
自分の思い通りになりそうでならないものの代表格が、人間関係において「相手を変えよう」とすることと言われています。
同様に、お金についても運要素がほとんどという研究結果がありますし、健康についても老いますから自分ではどうしようも出来ない部分があります。ですから、これらは、自分の思い通りにする(または「とにかく何とかして問題や自分の不快感を今すぐ解決する」という考え)というよりは、「少し気をつけておく」というくらいが丁度良い距離感になるのかも知れません。
もし人間関係が苦手という方がおられましたら、気をつけるコツの一つとして、「はへほ」の返事を覚えてみると良いかも知れません。
会話は基本的に「相手に喋らせておけばいい」ということですから、こちらの返事は、「はぁ、なるほど」とか「へぇ、そうですか」、「ほぅ、素晴らしいですね」のようなことを適当に返事しておけば良いと覚えておくと、苦手だった人が、どうでも良い気にならない人になることもあります。職場であっても、会話の8割はどうでも良い会話が多いようです(本当に大事なことは文章で回ってきますので)。ですから、日常的な雑談の返事は「はへほ」で十分なのではないでしょうか。気持ちに余裕があり、ちょっとした褒め言葉の一つでもトッピングできれば、もう「人間関係の達人」といえるでしょう。
他の人の苦労まで背負い込む必要もありません。
「私がやらねば、誰かやる」の精神で、自分が遠慮すれば、もっとより良い適任者が対応してくれたりします。
自分が心からワクワクして「お金を出してでも良いからやらせてほしい」そう思えることであれば、「自分の出来ること」の範疇にあると思います。そういうことは楽しく夢中で取り組むと良いと思います。
生き方のモデルには2つあるそうです。一つは、登山型。もう一つは、川下り型です。
登山型は、自分で目標を定めて自分で登っていく。川下り型は、目の前の人からの頼まれごとを自分の出来る範囲のことであれば、笑顔で受けて淡々とやってあげる生き方なのだそうです。
これは、どちらが良い悪いという優劣ではなくて、自分の性格やスタイルに合っているかどうかという、好みの話だと思います。学校や会社では、目標をもって進む形を教えている気がしますが、もしかしたら、川下り型が合っている人も多いのかも知れません。
「私はこれだけやっておこう」と自分で決めたら、ちょっと気分転換に前から行ってみたかったカフェに出かけたり、読みたかった本を手にしてみては、いかがでしょうか。世の中には結構、美しいもの、楽しいものがありますし、もちろん、家でゴロゴロ、のんびり過ごすという贅沢も良いですよね。
休憩しながらマイペース。
自分のやること、やらないことを決めて、無理せず手抜きせず。これからも皆様と一緒にこの旅を続けていきたいと思います。