

① なぜ、いじめが起きるのか?
学校生活は、「誰が優れているか」という基準があいまいな上、毎日同じメンバーで過ごさなければならないという閉鎖的かつ強制的な環境下にあります。ゆえにスクールカーストが形成されやすく、集団のノリや、ネガティブなキャラ付けなどからいじめに発展してしまうことがあります。
さらに引き金となる動機としては、かつて自分はいじめられていた、だから自分も他人をいじめてもいいんだと、被害者が加害者に転じてしまう例も挙げられます。
親の愛情不足や寂しさから、他人をいじめてしまうというケースはあまり考えにくいですが、親としては、自分の子どもがスクールカーストのどの位置にいるか、把握しておくことは重要なことだといえます。
子どもとの会話の中からそれが分かれば一番ですが、ママ友との情報交換や、クラス担任、部活動の顧問の先生との何気ない会話にもアンテナを張っておけると良いでしょう。

② いじめの兆候は?
批判するような言葉の何割かは「正義感」から生まれます。「周りに迷惑をかける子がいる」「その子に直してほしい点がある」など、特定の子の名前が頻繁に出てきたり、悪口を言うようなことがあれば、いじめの兆候として意識したほうが良いでしょう。
あるいは、相手を傷つけるような発言をしていたり、「嫌い」とか「死」に直結するような表現が頻繁に飛び出すようならば、そのストレスから誰かをターゲットにする可能性があるということも、ご家庭では認識しておくようにしましょう。
また、次は自分がターゲットになるかもしれないという恐怖心から、率先していじめに加担してしまうことも考えられます。クラス内の雰囲気も含め、お子さんが過度に自分の優位性や安全保証を確認するような不安を感じていないかどうか、微妙な変化に気づいてあげることが大切です。「触れてほしくない話かな⋯⋯」とためらうような内容であったとしても、親として変だなと思った時は、ちゃんと声に出して尋ねるようにしましょう。

③ うちの子、もしかしていじめてる?と思ったら⋯⋯
- まずは冷静に話を聞く
わが子のいじめ加害を疑うことは、親としてはショッキングな出来事かもしれませんが、まずは冷静な対話を心掛け、事実を確認します。聞かれるのを嫌がる子もいるかもしれませんが、諦めず、うやむやにしない姿勢を示し続けましょう。 - 叱責ではなく違和感を伝える
感情的に叱るだけでは、子どもは話すのをやめて、そのまま隠ぺいしてしまいます。ある程度の年齢に達したら、子ども扱いをしたり、抑え込む指導は通用しません。行き過ぎた発言や悪口に対しては「私はその考えには賛成できない」というように、対等な立場で違和感があるということを伝えるようにしましょう。 - いじめの問題に敏感でいる
いじめに関する問題は、テレビのニュースなどでも頻繁に取り上げられます。親としてそういうことに関心があるということを、子どもにアピールしておくことも抑止力になります。自分は親に怪しまれているのだろうか⋯⋯という認識を持たせることも効果的です。親は子の鏡です。大人としてこういう意見を持っているという姿を示すことで、それを見た子どもが「自分の言動は正しいか、正しくないか」と考える時間をつくってあげてください。

学校の先生に相談しても良いの?
自分の子どもが加害側の可能性があるのに、学校の先生に相談して良いものか⋯⋯迷いますよね。
2024年に制定された「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(文部科学省)では、いじめによる深刻な被害に対して、学校や教育委員会が適切かつ迅速に対応するための調査手順が指針として示されています。
「例えば、もしいじめ被害によって不登校になった生徒がいた場合、しっかりと班を作って調査しなければならないというルールができました。加害者は学校指導の対象となります。親として不安に思っていることを伝えることで、学校や先生も協力して指導に当たってくれる可能性がありますので、あらかじめそれを伝えておくことは意義のあることだと思います」
と、斎藤先生はおっしゃっています。
いじめを根絶するのは難しいことかもしれません。ですが、本人・学校・親が連携することで、いじめを未然に防ぎ、安心して過ごせる環境が育まれていくことは確かです。


斎藤環
さいとう・たまき 1961年、岩手県生まれ。「つくばダイアローグハウス」院長。筑波大学名誉教授。著書に『社会的ひきこもり』(PHP新書)『いじめ加害者にどう対応するか 処罰と被害者優先のケア』 (岩波ブックレット)など。
