この人たちにお話を聞きました!

「コミュ力0ママ」しながら漫画を描く
おやまさん
→今日も元気に「0」のまま生きる

幅広いメンタルケアに携わる精神科医
木村 好珠さん
→すぐにできる「コミュ力」UPレッスン


あなたは「コミュ力」高いですか?低いですか?そう聞かれて「高いです!」と答えられる人はどれくらいいるだろう。特に、そのスキルの高さが当然のように要求される今の時代、ますます自信を失いかけている人も多いのでは?でも、いったん立ち止まって考えてみたい。自信を持てずにいるあなたのコミュ力は、ほんとうにマイナス面だけなのか─。


このページのイラストを担当してくれた「コミュ力0」の漫画家おやまさんは著書でこう言っている。「仲良くなれなくても、好きな人がいればハッピー」そうなのだ。スキルを上げる努力も大事だけれど今の自分を否定せずに見つめ直してみることも、同じようにとても大切。そのままでも大丈夫なことが、案外、多いかもしれないのだから!
「コミュ力」低めでも意外となんとかなるかも
漫画家
おやまさんの場合
コミュ力0ママを自認する自身の日常をほんわかと(ときに鋭く)活写した『コミュ力0ママでも育児の人間関係なんとかなるよBOOK』(ワニブックス刊)。
「コミュ力なくても楽しく生きていけるんだと、少しでも気持ちがラクになってもらえたら」。
そんな著者おやまさんの思いは、多くの「人見知りママ」たちに伝わり共感を呼んだのだが、
実は読者と同じように共感し、かなりの影響を受けて構成したのが本特集。
特集タイトルなども少々拝借したことに恐縮しつつこのエッセイ漫画の産みの親である、リアルおやまさんをお迎えしたのだった。
親友が1人いればそれでいい
きっかけは、おやまさんが「自分の中に日々たまっていく負の感情をはき出すため」に作った仮想雑誌『alone』の表紙だった。
「もともとはデザイナーだったんですが、結婚して子どもができてから育児漫画を描くようになりました。その合間に、わたしの脳内雑誌(笑)『alone』の表紙の画像をSNSにアップしたら、それを見た編集さんから描いてみないかと声をかけられて。そうして出来上がったのが『コミュ力0ママ〜』。お話をいただいたときは、『はい、すでにネタはいっぱいあります!』って感じでした(笑)」

おやまさんが自身のコミュ力の低さに気づいたきっかけは下の漫画の通り。自覚してみると、思い当たるフシは過去にもたくさんあったという。
「人間関係は──かなり狭いです。基本的に居心地がいいのは1対1。3人以上いると『わたし、ここにいなくてもいいかな…』って、それこそ幼稚園の頃からずっと。結局、親友が1人いればそれでいいんですが、そういう人ってなんとなくわかるんです。わたしと同じタイプだろうなとか、『この人なら受け入れてくれるかも』みたいなものが。そう思えたら、相手にとって心地いいだろう距離感を守りつつ、でも頑張ってこちらから近づいていっていました。で、いったん仲良くなれそうだとわかると、急にそのスピードが速くなるんです。いきなり家族に関する深い話をしたりとか(笑)」
それとは違うケースで、例えばコミュ力が高そうな人と、のちのち仲良くなれたことなどはあるのだろうか。
「あ…ない、かな(笑)。ふつうにつきあえるようになっても、親友までいったケースはないかもしれないです」
最初に察知した感覚に狂いなし。おやまさんの「嗅覚」、恐るべしである。

2人目、3人目ではママ友がまったくできなくて
『コミュ力0ママ〜』が出版されたのは2022年。保育園児だった長女さんも今は小学2年生。この間に、おやまさんのコミュ力にも変化はあったのではないか。
「いえ、それはなくて、むしろ下がっているんじゃないかという(笑)。長女のときはすごく頑張ったんですが、2人目、3人目ではママ友がまったくできなくて。コロナ禍の関係か、長女のときにはあった親子遠足とかのイベントもなくなって、顔も覚えられないから送迎で一緒になってもあんまりしゃべらなかったりで。けっこう困ってます…」
今も安定したコミュ力0ぶりを持続していることがわかったところで、おやまさんに「コミュ力0で困る場面トップ3」を挙げてもらった。
\ プチ対処法付き /
「コミュ力0」で困る場面トップ3
1 保護者会
「1番は保護者会ですけど、飲み会とかバーベキューとかイベントごと全般ですね。イベントというものには、しゃべれない、大人数が苦手という、わたしの苦手な要素しかないですから。歓送迎会とかも、行かなきゃちょっと空気読めないみたいになっちゃうんで行くんですけど、だいたいこう、無になるというか、1人だけ先に帰るっていうパターンになりがちです…」
2 雑談の場
「例えば、美容室に行ったとき、3席あって両脇の2人が美容師さんと話が盛り上がっているのに、自分だけシーンとなっていると焦って、iPadやスマホを見たりしてやりすごしています。あとは、ママさんとの雑談の場合だと、意外と天気の話は万能で。その日の天気に絡めて『これじゃ洗濯物、乾かないですよね』とか。ママにとって洗濯物が乾くかどうかは切実ですから、ひとしきり盛り上がります。小さい子がいる場合は、その子に『今日の洋服かわいいね〜』とかなんとか話しかける。子どもと動物は使えますね(笑)」
3 相手の呼び方とタメ口
「ママ友とかに、いきなり下の名前で◯◯ちゃんって呼ばれても、そこは『すみません…』と思いながら、自分ルールに従って◯◯さん呼びで通します。タメ口は…自分からタメ口にすることは絶対にないんですが、相手がタメ口にしてきたら、私も徐々に徐々にタメ口にと、頑張ってしています」
「長女が小学生になってから、保育園ではなかった保護者会にかなり苦労しています。何がたいへんかというと、3〜4人の班を作って、たとえば『お小遣いはどうしてる?』みたいなテーマについて話し合わなきゃならないこと。その会話すらツラいうえに、最後、みんなの前でする発表がまた…。発表する代表者はじゃんけんで決めるんですけど、わたしは負けることが多くて。それがかなり地獄って感じです」
今後、長男くん、次男くんが続くと思うと…。対応策などは考えているのだろうか。
「わたしが知りたいぐらいです(笑)。本当にストレスがすごかったら、もう行かない方がいいのかなと」
保護者会に限らず、「ねばならない」と思っていることはほんとうに「ねばならない」のかを、いったん冷静に考えた上でストレスと天秤にかけてみる。そうして出した結論=「もう行かない」は、極論のようでいて、実は賢いサバイバル術なのかもしれない。
「『コミュ力0』でよかったと思うのは人づきあいしない分もめごとに巻き込まれないこと(笑)」
「コミュ力」の高さって自己開示力なのかなと
では逆に、「コミュ力0でも大丈夫」なこと、「自信ある」ことを聞いてみよう。
「一期一会じゃないですけど、例えばタクシーに乗ったときとか、初対面で2度と会わないとわかっている人とは喋れるんです。わたしは、どこまで踏み込んでいいのか気になってなかなか質問ができないだけで、質問してくれるのならむしろしゃべりたい方なので。自信があること、というか、よかったことでいえば、人付き合いをしない分、もめごととかに巻き込まれないというのはありますね。それで、結果、嫌いな人があんまりいない(笑)」
「嫌いな人がいない」。これこそ素晴らしいメリットであり、人としての美点ともいえるのでは! 目の前のおやまさんが醸す柔らかな雰囲気は、そのあたりからも培われたのではないかと想像する。そんなおやまさんに、「コミュ力」とは何か、そして、0なりにサバイブしてきた者として「日々大切にしていること」を聞いてみた。
「コミュ力の高い夫と長女を見ながら思うのは、結局それって『自己開示力』なのかなと。特に夫。これは本でも描いたことですけど、保育園を辞める保育士さんに、わたしなら触れちゃいけない事情があるかもとか考えちゃうところ、ド直球で『何で辞めるんですか!』って聞いたんですよ。でもその質問で、むしろ場が盛り上がって。素直にぶっちゃけることで上手くいくことも多いのかもと思いました。大切にしていることは、『無理しない』『相手と自分に期待しすぎない』『人との距離感を大事にする』。この3カ条ですかね」

おやまさんの「コミュ力0」でも自信あることトップ3
1 初対面はおまかせ!
※本文参照
2 人を嫌いになりにくい
※本文参照
3 相手の呼び方とタメ口
口下手の人とは、単純に言葉が下手なのではなく、「脳内でさまざまなセルフ反証を繰り返し思考を複雑に交錯させているので、言葉にするのが遅くなるだけ。いってみれば、ものごとを常に客観的に見つめようとしている証拠」という仮説をおやまさんにぶつけてみた。
「そ、そうですね…いい言い方をするならば(笑)。でも確かに、わたしも常に脳内会議をしていますし、ものごとをいろんな角度から見ている、というふうにはいえるかもしれません」

漫画家
おやま
おやま 長女8歳、長男6歳、次男5歳の3児の母親。漫画好きの主婦。著書に『8年 スキンケアを変えていない私がたどりついた「引く美容」』(KADOKAWA)、『コミュ力0 ママでも育児の人間関係なんとかなるよBOOK』(ワニブックス)、『おやまさんちの愉快 なる365日』(KADOKAWA)がある。
text by塚田泉 illustration by おやま
\ とはいっても /
「コミュ力」あがればやっぱりうれしい!
精神科医
木村 好珠先生がアドバイス
木村好珠先生が精神科医を目指そうと思ったのは高校時代。
メンタルに不調をきたした友人を支えたいと思ったことがきっかけだった。
そんな木村先生が、医師の視点に個人の経験、実感を交えながら教えてくれた「コミュ力」UPのための3つのレッスン。
考え方や視点を少し変えるだけのこの3点を、意識しながら毎日を送ってみてほしい。
素直に人に頼ることもとても大事
昨年に出産し、ほどなくして仕事復帰したという木村先生。現在、仕事と育児を両立させる中、「人に頼る」という形でのコミュニケーションの重要性も、身をもって感じているという。今自分ができないところは素直に人に頼る、その代わりできるところは自分がやる、というように具体的なやり取りをすることで、相手に伝わるものがあるのだと。
木村先生にとってコミュニケーションとは「伝え合えること」。自分の感情や行動も含め、一方通行ではなく、下手でもいいから、伝え合うことがとにかく大切。それがどうしても上手くできなくて、悩みが高じて体調に異変が表れたり、今まで経験したことがないような症状が出るようであれば、カウンセリングなどが必要な場合も、と木村先生は言う。敷居が高いと考えず、専門医に相談すべきケースがあることも、頭の片隅に置いておきたい。
「コミュニケーションとは一方通行なものではなく下手でもいいから『伝え合える』こと」
Lesson 1 あえて空気を読まない
そういうキャラで通すのも1つの手!
空気を読みすぎたところで相手の感情って、結局100%はわからないもの。空気を読める/読めないは、そもそも個性だと思っていて、どちらにもいい点・悪い点はあると思うんです。わたしは中学生ぐらいから、あえて空気を読まないということを、ときにはやっていましたね。空気を読みすぎると自分の主張がなかなかできないので、ここまでは空気を読むという線を引いて、自分のことをもう「空気を読まないキャラ」にしているときもありました(笑)。
あとは申し訳なさそうにしすぎない。空気を読んで「すみません」って言いすぎちゃうと、もうそこで相手と対等じゃなくなってしまうので。自分を主張するのは別に悪いことではないと思うんです。ただその際、「わたしは今こうしたいからこうします」というように、「相手の否定」にならない形で意見を言うことを意識するようにしたいですね。
Lesson 2 言語化する
上手く伝えようとしなくていい
コミュニケーションが苦手だと思う理由の1つに、「言語化ができない」があると思うんです。何かについての説明もそうだし、自分の感情ややりたいことについてもそう。言語化ができる人は話し合いができるので、ちゃんと相手もわかってくれるけれど、それがなかなかできない人だと「ほんと、すみません…」ばかりになってしまいがち。そうすると相手もイライラして会話もそこで終わってしまうので、言語化ができるようになることは、コミュニケーションを上手く図るための1つの方法だと思います。
ただし、その際、キレイにしゃべる必要はありません。相手に伝わればいいんです。身振り手振り、表情と、非言語のコミュニケーションも含めてちゃんと伝えようとすることで、言語化はどんどんできるようになっていくはず。自転車だって何度も乗るから乗れるようになりますよね。同じように言語化も、ちゃんと伝えようと意識して続けていくと、言葉が出てくるようになりますから。
Lesson 3 「自己存在感」を高める
どんな自分であってもすべて受け入れ認めること
自己肯定感は、日本だと、イコール「ちょっと自信ある」みたいに思われているじゃないですか。でもほんとうは、ダメな自分もいい自分も含めて自分の存在を認めることを意味する言葉。なので、「自己存在感」と言い換えた方が、本来の意味に近いかもしれませんね。そんな自己肯定感ですが、必ずしも高ければいいというわけでもないんです。高すぎて自信がつきすぎちゃうと、それはそれでダメな自分を受け入れられなくなってしまうし、人の意見に耳を傾けることを忘れてしまうことも。逆に、低い人は「自分なんて…」と思いがちですが、むしろそれでいいかなと思っています。ポジティブシンキングで無理やり自己肯定感を上げようとするよりは、自身のいいところ・悪いところを「こんな自分がいてもいいんだ」「こんな自分もわたし」と全部受け入れた上で、少しでも楽しく生きられるように試行錯誤しながらできることをやっていく「前向き」の方が大事。そうすることで、自信という意味の自己肯定感も上がっていきますから!

精神科医
木村 好珠さん
きむら・このみ 1990 年生まれ。東京都出身。東邦大学医学部 を卒業し、2014 年に医師免許を取得。在学中の2009 年にミス 日本グランプリ決定コンテストで準ミス日本を受賞。現在は『このみ こころとからだクリニック』で院長として勤務。精神科医・ 産業医としての勤務に加え、スポーツメンタルアドバイザーとして、 プロチームからジュニアアスリートまで幅広くメンタルケアにも携 わる。著書に、『日常で活かせるスポーツメンタル』(法研)、『コ ミュ力アップの法則』(法研)、『メンタル弱いままたのしく生きてく』 (サンマーク出版)がある。
