私のETHICS体験のヘッダー

毎日の暮らしの中で気づくことができた自分自身の気持ち
相手の立場に立って考えてみるという勇気
さまざまに織りなされるスピーカーの皆さんの中から4名の方の発表をダイジェストでご紹介!


一生の宝 『寄り添う』
東海会場/武仲 恵子(たけなか・けいこ)さん(72才・主婦、農業)

お正月過ぎ、今年初めての病院に行きました。
主人が悪性の病で20年以上通っています。以前は車でしたが、年齢を重ね、今は岐阜(ぎふ)から千種(ちくさ)区まで名鉄と地下鉄を乗り継いで行きます。

その日、病院が早く終わって駅まで来たとき、主人が突然「コモドドラゴンを見に行かへんか」と言い、東山動物園が近いのに気づきました。私は「コモドドラゴンなんてちっともかわいくないし、早く家に帰った方がいいのに…」と思いました。しかし、今日主人はコモドドラゴンを楽しみにしてきたのかも…と思い直し、行く事にしました。
コモドドラゴンは、やっぱりかわいくない…と思いましたが、主人が足取りも軽く、うれしそうに写真を撮る姿に何だかうれしくなりました。

主人が発病した頃、同居する主人の両親は高齢で、田畑もあり多忙な時期でした。さまざまな検査や治療、そして何度も手術をしてきて、完治した時期もありましたが、一昨年、再々発してしまいました。つらい症状が続き、いろんな薬を処方していただいても効果がなく、2人でついに末期医療の相談に行きました。

そんな時、これまでの担当医から手術を勧められ、昨年丸1日の大手術をした結果、痛みが全くなくなりました。ただ、主人は食事も飲みものも口から取ることができなくなり、発音も悪くなって話が聞き取れない状態になりました。しかし、主人は全てを受け入れています。そのことで腹を立てることも、私に当たり散らすこともありません。改めて主人のことを尊敬するようになりました。

私は、昨年の初めに「寄り添う」を心に生きていくことを決めました。それから1年。昨年秋には、主人の念願だった城に出かけました。私は、主人専用の特別な食事をリュックにいっぱい詰め込んで背負って歩きます。ちなみに私の食事はコンビニ弁当。私の前を足取り軽く歩く主人を見て、まるで夢を見ているようでした。今、感謝をかみしめております。

一生の宝 『寄り添う』

父の思いに気づいたとき
岡山会場/門田 美穂(もんでん・みほ)さん(40才・パート)

私はかつて、親のことが嫌で長く口をきかないことがありました。
当時、私は高齢者施設で相談員として勤務、夜間の呼び出し等で気が休まらない仕事でしたが、大工の父から「自分の仕事に比べたらたいしたことない」と言われ、私は次第に父の全てが受け入れられず、何年も口をきかないほどでした。自分の考えが正しいと周囲の意見に耳を傾けない父とは分かり合えないと思っていたのです。

しかし結婚式の日、母の手紙で、父が夜中の呼び出しや遅い帰りに心配していたことを初めて知りました。その後、転勤族である私たちの引っ越しのたびに、はりきって工具を持参して母と手伝いに来てくれる父。主人は「お父さんはやっぱりすごい」と言ってくれます。父の知らなかった一面を知ったこともあり、嫌いだった父の存在が少しずつ変わってきたように思います。

父は、昔から大きなカレンダーに家族の誕生日を書いており、今では2人の弟家族の誕生日も加わってにぎやかなカレンダーとなりました。そして、あれだけ「スマホなんていらん!」と言っていた父でしたが、コロナ禍に入院した際、渋々LINEを始め、先日の主人の誕生日には一番にメッセージをくれ、私が子どもたちの様子を送ると、「すごいのう」と返事をしてくれています。

また、地元の歴史あるお祭りでは、わが子たちもしっかりと父の血を受け継いでいて、「わからないことはじーじに教えてもらって」と言うと、父はうれしそうに教えておりました。

若い頃から、体のあちこちを痛めながら仕事をしてきた父への感謝の気持ちが生まれたのは、最近になってようやく…という感じです。ずいぶん遠回りをしてきましたが、離れて暮らす両親に私たち家族が元気で仲良く生活していることをたくさん報告してゆける私になりたいと思います。

父の思いに気づいたとき

13歳差にありがとう
大阪会場/徳島 佳奈子(とくしま・かなこ)さん(44才・医療事務)

私の家族は主人、私、息子の3人家族です。主人は電気工事士、私は耳鼻科で医療事務、長男は小学5年生。それぞれ毎日忙しくしています。

先日、私が昼休みに晩御飯の用意で帰宅するとバッタリ主人と会いました。「用事で抜けてきた、また行く」と言うので送り出しましたが、一瞬"ずる休み?"と頭をよぎりました。悪い予感はなぜ当たるのでしょうか。主人の給料明細で休んでいたのがわかり、うそをつかれたことがショックで腹が立ちました。

「水曜は忙しくないから休んでいた」と言う主人に、「私に怒られるから言わないの?休むなら正直に言って!」と責めていると、主人は「体がしんどいんや」と一言。でも私も毎日働いてる。しんどい。主人が体の不調を訴えても「だから何」と思っていました。

私の職場は主人と同年代の方が多く、「旦那さん、50代後半やろう。そりゃしんどいよ」と言います。主人との年の差は13歳。私は40代で、主人のしんどさが分からないのだと。それでも、ただの甘えとしか思えず、「しんどくて休むのなら離婚した方が楽やろう」と責め続けていると、息子が「お母さん、言い過ぎやで!」と目に涙をいっぱいためて主人をかばいに来ました。その姿に、私は2人につらい思いをさせてしまい申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

主人の仕事は肉体労働で体への負担が大きく、年齢を重ねればさらに大きくなります。そこで"息子を育てる"という目標に向かって、13歳という年の差をありがたいと考え、主人が休む日は家事をしてもらい、動ける私は頑張って働こう。それぞれできることすればいいと気持ちを切り替えると、今まで不安だった年の差でしたが、"13歳差にありがとう"と思えるようになりました。まだまだ発展途上のわが家ですが「より良く」を目指し頑張ります。

13歳差にありがとう

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