RYO from ORANGE RANGEのヘッダー

昨年、メジャーデビューから20年という節目の年を迎えた ORANGE  RANGE
RYOにとって、音楽とともに歩んできた歳月の意味とは?


20年という年月の重さ

デビューから、わーっと突っ走ってきたなと思うんですけど、アルバム制作で2カ月とか時間が空くと、ふと自分のことを振り返ることがあります。

最近、高校時代の同級生で大工をやっている友達と過ごすことが多く、ある時、彼からデビューした頃の話をされて。「俺、高校生で。すごくうらやましく思っていたんだ」って。
彼は高校中退して大工になって、立派に独立したんです。俺は音楽をやって、友達からうらやましく思われている。友達から大工仕事を教わっていると、俺は音楽だけで他のことは何も知らない。でも、彼には社会に出てからいろんなストーリーがあったんだろうなと思うと、20年という歳月はすごく長い時間だったんだなって感じるんです。

彼とは本音で言い合える仲なんです。それがいい。20年ずっと地元から、俺のことを見てくれたこともうれしくて。そいつと話していると、俺自身のモチベーションも上がるんです。

初めて体感した人のエネルギー

一番最初、音楽が好きになったのは中学2年の時。きっかけはDragon Ashがいろんなジャンルのアーティストを連れて沖縄の宜野湾(ぎのわん)に来た時です。

Dragon Ashは憧れで、当時流行っていたベースボールシャツに偽の金のネックレスして。中学生なりにDragon Ashに寄せて(笑)。で、会場の外で並んでいたら、その姿が地元の新聞に撮られて、それが自分が表に出た最初だと思います。

ライブも初体験で衝撃的でした。憧れの人たちは本当に実在するんだなって。音楽はCDで聞いているのとは全然違うんだなと思いました。そして、観客も演者も含めて、人のエネルギーってこんなに熱くなるんだと感ました。今でも、全部覚えています。
これが音楽の原点でした。憧れてラップの書き方や韻の踏み方を、YouTubeで見て独学で学んで「歌詞のけつが同じように聞こえる」ってノートに書いてました(笑)。

東日本大震災が転機に

デビューしたのは2003年、あと3カ月で18歳という時でした。
だんだん仕事が増えて忙しくなってきた。でも、メンバーより2学年下の自分はまだ学生でした。忙しすぎて、自分たちが売れてるなんて感覚はなかったですね。

20年間、メンバーとの関係は紆余曲折(うよきょくせつ)ありました。大嫌いとまでは言わなくても喋りたくない時期もあったり。それでもツアーを回っていると仲間意識は強まります。
そんな中、大きな転機になったのは、2011年3月11日の東日本大震災でした。被災地に行って何かやりたいと考えてアコースティックでやるようになり、自分たちの曲をどう表現するか、ステージでのメッセージをどうするかといったことで会話が増えていって。みんなとフラットに話せるようになった感じがします。

今考えてみると、デビュー前の頃って部活の延長みたいで。だから、大事なところは人任せにしてたんですよ。ただ、それぞれ年を重ねていろんな経験もした中で、責任感というか、お互いを引き受けなきゃなと思うようになった。
最近はこれをやるなら、自分が先導するほうがいいとか、そこで二番手が必要なら自分が行くとか。それぞれの役割や得意分野がわかってきた。アラフォーになってやっとですよ(笑)。時間はかかったけど、今が一番いい状態だと思います。

自分の存在意義と達成感

関係性が丸くなってきたことが演奏にも作用してきました。若く突っ走っていた頃に作った曲でも、今やると違う感覚があるんです。
メンバーが何をやっているかもわかって、冷静に弾けるようになるし、たとえばミスがわかると「誰かがフォローしているな、ナイス!」なんて思う瞬間もあります。

これまでのキャリアの中で、最初の頃は自分のポジションと自分の求めているものが合致しなくて、一人でもがいて本当に苦しかったんです。でも、ライブだけは集中して、つらいことも忘れて向き合える瞬間だった。本当に音楽に救われました。自分のたまっているものを吐き出せる。
そして当時は気づかなかったけど、横に一緒にいるメンバーも気持ちを一つにして表現する一体感が、自分にはよかったんだと思います。そして、メンバーと会話があることで自分の存在意義もわかるようになって楽になってきた。
きっと、みんなそうなんじゃないかな。存在意義というものがあって、達成感があれば、割と健康的にいられる。俺は音楽を通して活力も得られたし、引っ張ってくれる言葉をメンバーや友達からもらえました。本当に音楽が自分を人間として成長させてくれたと思っています。

沖縄を拠点に自然体で活動

今は活動の拠点は東京と沖縄というより、沖縄と沖縄以外が半々という感じで、ツアーやライブをやっています。
とくに2010年7月に自主レーベルを作ってから沖縄に軸足を移しました。リーダー(NAOTO)の家をプライベートスタジオにしてレコーディングしています。メンバー同士の会話も増えるようになって、こっちのほうがいい環境ですね。時間にも追われないし。スタジオって、ボーカルはリーダーの部屋のクローゼットで録音(笑)。それが面白いんです。

本当に健康的ですね。普通と言ったらなんですけど、振り返ってみれば、俺たちはデビューして一気に大きいスタジオに行きすぎたのかもしれないですね。こういう経験を経てから大きなスタジオに行く道もあったかも。まあ今となってはどっちが正解でもないんですけど。

沖縄ではみんな近い距離に住んでいて、学生の頃のバンドに戻ったみたいです。
今年の9月からツアーが始まり、また全国を回ります。個人的には、これからは メンバーそれぞれの人間味が前に出ればいいかなと思っています。そうなるために一人一人がもうちょっとレベルアップすれば面白いかなって。60歳、70歳になってもバンドをやっているイメージはありますね。歴代の先輩方はすごい年でも現役じゃないですか。俺らはまだまだですね。

RYO from ORANGE RANGE

RYO from ORANGE RANGE

言わずと知れた沖縄出身5人組ロックバンド「ORANGE RANGE」のボーカルとして活動する傍ら、ソロ名義で数々のミュージシャン、アーティスト達と音楽活動を展開中。
http://orangerange.com/ryo/

ORANGE RANGE『トワノヒカリ』

ORANGE RANGE『トワノヒカリ』

※映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』主題歌
2025.10.22 RELEASE
https://ORANGERANGE.lnk.to/Towanohikari

【完全生産限定盤】CD+Blu-ray(SRCL-13413~13414)
5,500円(税込)/5,000円(税抜)

撮影/江部公美

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