「人を信頼できない自分と向き合う」
山下 達也 さん

トラウマに苦しんだ学生時代
自分の理念は、「孫の世代の日本を豊かにする」こと。若い世代が活躍できる場を広げることに全力を注いでいます。しかし実は葛藤だらけ⋯。「信頼して裏切られるのが怖い」。モヤモヤとした不安がいつもよぎっています。
その原因に母とのトラウマがあります。複雑な家庭で劣等感を持って育った母からは、常に「人に負けるな」と周囲と比較され、誰にも負けないように背伸びして努力し、中学では勉強もスポーツも常に学年でトップクラス。それで、いつしか自分も人を比べて見下すようになり、天罰が訪れます。いじめです。仲間からシカトされる孤独な日々。
ここで第1のターニングポイント。いじめられない為には力で強くなるしかないと、ケンカで周りを制圧。グレて暴走族に入りました。しかし、そこでも調子に乗ってトラブルを起こし破門され、再び、孤独に。
そして第2のターニングポイント。何度も警察のお世話になり、保護観察処分になった時に出会ったのが、唯一、無条件に自分を信じてくれた保護司の先生でした。「あなたは立ち直れる」と、いつも笑顔で自分の存在を認めてくれました。

利他の心が豊かな未来をつくる
今、自分が大事にしている「利他=相手の幸せを願い思いやる心」は、その時教えてもらったと思ってます。そして、当時は気づいていなかったのですが、実は母も同じでした。どれだけ自分がグレても決して諦めなかった。厳しさの裏に母なりの愛情があったと気づいた時、ようやく自分の気持ちも整理できた気がします。
それでも、未だに「人を信頼するのが怖い」。だから自分に言い聞かせるように、「愛されたいなら、まず愛せ」とスタッフにも言い続けています。この信念を胸に自分と向き合えば、人は必ず成長できると信じています。
今、自分と向き合うために、早朝から運動や神社の清掃を続けています。すると、スタッフや子どもたちも同じことをするようになりました。良い行いも悪い行いも、親を見て子どもも真似をすると気づき、そこにひとつの絆を感じます。そして、孫の世代の日本を豊かにするため、多くの方々の幸せのために精進していきます。さらに、若い頃の恩返しを⋯と、今、自分も保護司となり若者の理解者として同じ道を歩んでいます。


\ 当時の担当保護司 髙尾 洋子さんより /
あの頃は「ごはん食べんね」とか言って話してたぐらいで、説得とか一切せんかったよね。若い子はどうせ何を言っても聞かんし(笑)。当時、この子もいろいろやったけど決して悪い子じゃない⋯って信じていました。
それがこんな立派な紳士になって、かわいい奥さんと子どもさんもいる!そして同じ保護司をしてると聞いて、本当に良い「お父さん」になったんだね〜ってすごくうれしいです。
「親の背中は、言葉より強いエール」
竹之下 絵里子 さん

「まだまだ、行けるよ!その調子!」
お母さんの思いがいっぱいこもった声援が私の足を進めた。
息が苦しくて、何度もあきらめようと思ったけど走りきった昨年の持久走大会。
普段は仲の良い友達も、この日はライバル。
あと残り少し。3人で競うなか、最後の力を振り絞って前に出た。
ゴール!
2位の友達に、少しの差で1位になることができた。
「本当に少しの差で・・。」
うれしい気持ちはあったけど、もっと練習をして、もっと差を付けて1位になりたい!
800メートルにチャレンジ
これが、今年の私の目標のひとつです。陸上クラブに入って2年、これまで100メートルだけでしたが、今は800メートルにもチャレンジしています。
クラブの練習が終わってからも、家の周りをお母さんと走ります。でも宿題もあるし、時々面倒くさくなって「休みたい⋯」と言うと、お母さんは「いいよ」と言いながらも、明らかに不機嫌な返事。私とお母さんの気持ちがぶつかる時もありますが、お父さんやお母さんは、「自分で決めた目標、最後まで応援しているよ」と言っています。でも「言葉で言うだけは簡単じゃん!」と言い返したくなる時もあります。ただ、練習に関してはあまり言えません。お父さんとお母さんはフルマラソンにチャレンジしているからです。去年も鹿児島マラソンに出場し、応援に行きました。折り返し地点でドキドキしながら待っていると、2人が笑顔で来て握手をしてくれて、また走り出しました。心配だったけど、2人の後ろ姿はとてもカッコ良く見えました。
私よりもずっと長い距離を走る2人は、いつも隙間時間を見つけては練習しています。そう思うと、私も少しでも頑張ろうという前向きな気持ちになります。

私は、これまで2回、800メートルの大会に出たものの記録は思うように伸びませんでした。でも、自分で決めてチャレンジできました。お父さんもお母さんも、そのことをたくさん褒めてくれました。今この経験が、次へ向かうエネルギーとなっています。
私は小さい頃、兄と弟の後ろに隠れて様子を見ているような子だったそうで、自分から何かをしてみようとあまり思っていませんでした。でも、今は少しずつ変わってきているように思います。何かのきっかけやチャンスが、私を変えてくれているように思います。側にいてくれる家族や友だちの存在もまた大きいと感じています。

毎日の「当たり前」こそが宝物
この夏、それが決して当たり前ではないことを考える機会がありました。
私は、母と弟の3人で被災地である能登半島を訪れる『親子で防災ツアー』に参加しました。地震の影響でガタガタの道路はまるでアトラクションに乗っているかのようでした。さらに、ブルーシートが乗ったままの家や傾いたままの建物、多くの仮設住宅、災害による土砂や廃棄物の山。実際に見ると本当に大きな災害だった事が分かりました。


その後、「語り部列車」に乗って当時の話を聞きました。
「揺れは非常に激しく、まるで洗濯機の中のようでした。津波の恐怖、観光列車の乗客の命を守ること、あの日の恐怖は時間がたっても薄れません。つらいこと、悲しいことをたくさん経験しましたが、人の温かさで前へ進めています」と話してくださいました。
朝、目が覚めること、家族がいて3食ごはんが食べられること、お風呂に入りお布団で眠れること、学校で友達に会えること。当たり前のように感じていたことが、決してそうではないと知って、人と人のつながりの大切さを学びました。
目標に向かうなか、1人じゃないこと、たくさんの優しさに気づくことができました。今、それが私の一番の宝物です。
\ お母さん 竹之下 文絵さんより /
絵里子は、私が忙しい時「家のことは任せて!」と言ってくれ、近所の実家に行く時も「何か持ってく?」など、優しくて気遣いもできる子で、家族もずいぶん助けられてきました。小さい頃から”できすぎてる感”があって、小学校の先生には「何でもできて安心ですが、頑張りすぎが心配です」と言われたこともあります。でも家では、泣いたりすることもあって、そんな時は「起きてきただけでも頑張った!居てくれるだけでいいんだよ!」と言葉をかけ続け、家の中では甘えてもいいし、気持ちを解放できるような環境を作るよう心がけています。
私たち親は「こうしなさい、ああしなさい」というのはほとんど言ったことがありません。でもこうして目標を持って頑張っているのは、私たち夫婦のマラソンの影響かもしれません。私たちには「練習目標」というのがあって、ここまではやろう!といったことが、絵里子に身近な陸上と重なっているのかなと思います。うちでは、そんなふうにある程度目標を決めて頑張るというのが習慣になっているのかな?習い事も絵里子は自分で決めてましたし、水泳も、中学になるときには辞めるというのも自分で決めてました。
とにかく、絵里子はもちろん、子どもたちのことを信じてあげられるのは、自分たちしかいない!と思っていますので、なんでも全力で応援しています。
\ 竹之下さんの実際のスピーチはここから! /

